変化の波を乗りこなす:新しい獣医療広告ガイドラインへの対応

皆様もご存知の通り、2024年(令和6年)4月1日から、獣医療に関する広告のルールが大きく変わりました。具体的には、「獣医療法施行規則」と、それに基づく「獣医療広告ガイドライン」が改正され、施行されています。
この変更に対し、「具体的に何が変わったのか?」「自院のウェブサイトやチラシは大丈夫だろうか?」「どう対応すれば良いのか?」といった戸惑いや不安を感じていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。特に、日々の忙しい業務の中で、複雑なガイドラインを読み解き、適切に対応していくのは容易なことではありません。中には、これまでの規制内容自体を詳しく把握していなかったという方もいらっしゃるかもしれません。
本稿は、今回の獣医療広告ガイドライン改正について、その背景から具体的な変更点、遵守の重要性、そして規制の中でいかに効果的なマーケティングを展開していくかまで、分かりやすく解説することを目的としています。
今回の改正は、多くの動物病院にとって、これまでの情報発信を見直し、より適切で効果的なマーケティング戦略を構築する好機とも言えます。この記事を通じて、皆様が新しいルールを正しく理解し、コンプライアンスを確保しながら、飼い主様からの信頼を獲得し、ひいては病院の成長へと繋げていくための一助となれば幸いです。
なぜ変わった? 2024年 獣医療広告ガイドライン改正の背景と目的
今回の広告規制の見直しは、約16年ぶり(前回の大きな改正は平成20年)となり、その背景には、近年の獣医療を取り巻く環境の大きな変化があります。
まず、獣医療技術そのものが高度化・多様化し、専門分野に特化した獣医師が増加しています。特定の分野で深い知識や経験を持つ獣医師がいる一方で、これまでの広告規制では、その専門性を飼い主様に伝えることが困難でした。
また、2022年5月に施行された愛玩動物看護師法により、国家資格を持つ「愛玩動物看護師」が誕生し、チーム医療体制が変化したことも背景の一つです。
さらに、情報発信の手段も、従来の看板やチラシ、テレビCMなどから、ウェブサイトやSNSといったデジタル媒体へと大きくシフトしています。飼い主様が動物病院を選ぶ際、インターネットで情報を収集することが一般的になりました。
このような状況の変化に対し、従来の広告規制は、飼い主様が必要とする情報へのアクセスを、かえって妨げてしまう可能性がありました。専門的な治療を受けさせたいと考えても、どの病院が対応できるのか、広告からは判断しにくい状況だったのです。人の医療分野においても、客観性・正確性が担保される情報については広告可能な範囲が拡大されてきた経緯があり、獣医療分野でも同様の対応が求められていました。
そこで今回の改正では、主に二つの目的が掲げられています。
獣医療広告ガイドライン改正の目的
- 飼い主の適切な選択を支援すること
飼い主が、提供される獣医療サービスの内容を正しく理解し、十分な情報に基づいて、自身のペットに合った動物病院や獣医師を選べるようにすることです。 - 飼い主様の保護
従来通り、虚偽・誇大広告など、不適切な広告から飼い主を保護するという目的も維持されています。
重要な点として、今回の改正は規制を単に厳しくするものではなく、むしろ広告可能な範囲を広げる「緩和」の側面が大きいということです。ただし、緩和されたからといって何でも広告できるわけではなく、正確かつ適切な情報提供を行うという新たな責任も伴います。
この変化は、旧来の情報制限モデルから、規制された透明性を通じて飼い主の選択を可能にする新しいモデルへの移行を示唆しています。現代の飼い主がオンラインで詳細な情報を積極的に探すことを認識し、法律をデジタル時代に適応させようとする動きと言えるでしょう。
【変更前 vs 変更後】で理解する広告可能事項

では、具体的に何がどのように変わったのでしょうか? 特に重要な変更点を、改正前と改正後で比較しながら見ていきましょう。
獣医師の専門性・経歴
変更前
獣医師の「技能、療法又は経歴」に関する広告は、原則として禁止されていました。広告できたのは、獣医学士や獣医学博士といった学位・称号のみで 、「〇〇認定医」「〇〇専門医」といった専門性や、「〇〇病院での勤務経験あり」といった具体的な経歴を広告することは、基本的にできませんでした 。
変更後
今回の改正により、以下の事項が新たに広告可能となりました。
獣医師の専門性・経歴に関する変更
- 獣医師の専門性に関する認定:
農林水産大臣が指定する団体が行う専門性に関する認定を受けている旨を広告できるようになりました。現時点(令和6年9月17日時点)で指定されている団体は「公益社団法人日本獣医師会認定・専門獣医師協議会」です。 - 獣医師の役職及び略歴
院長、副院長といった役職や、過去に勤務していた診療施設名、出身大学などを広告できるようになりました。
ただし以下の点は注意です。
この変更は、特定の分野で高い専門性を持つ獣医師や、豊富な経験を持つ獣医師がいることを、飼い主様にアピールする新たな道を開きました。
一方で、広告できる専門性が厳格に定められたことで、どの認定資格が広告可能かを正確に把握し、誤った表現をしないよう注意が必要です。これは、認定資格に基づく新たな競争環境を生み出す可能性があり、獣医師にとっては指定された認定を取得する動機付けになる一方、実績があっても指定認定を持たない獣医師にとっては不利になる可能性も考えられます 。
【比較表】獣医師の資格・経歴に関する広告
項目 | 改正前(~2024年3月31日) | 改正後(2024年4月1日~) | 注意点 |
学位・称号 | 広告可能(例:獣医学博士) | 広告可能(例:博士(獣医学)〇〇大学) | 正式名称を使用 |
専門医・認定医 | 原則広告不可 | 農林水産大臣指定団体の認定に限り広告可能 | 指定団体を必ず確認。自己流の専門性、指定外団体、海外資格は不可。 |
経歴(役職・略歴) | 原則広告不可(例:勤務歴、経験年数) | 広告可能(役職、過去の勤務先、出身大学など) | 過去の診療実績(例:成功率)は不可。研修歴なども通常不可。 |
診療行為・サービス
変更前
特定の診療行為に関する広告も、厳しく制限されていました。広告が認められていたのは、狂犬病予防注射や混合ワクチン接種などの「予防注射」、犬のフィラリア症予防、犬・猫の避妊・去勢手術、レントゲン検査といった基本的なものに限られていました。内視鏡手術や特定の外科手術、ノミ・ダニ予防(フィラリア以外)、具体的な疾患の診断・治療などを広告することは原則として認められていなかったです。MRIなどの機器名を広告することはできても、それを用いた診断サービスを広告することはできませんでした。
変更後
以下の診療行為やサービスが、一定の条件を満たせば新たに広告可能となりました。
診療行為・サービスに関する変更
- 高度な検査、手術、その他の治療:
CT検査、MRI検査、椎間板ヘルニアに対する外科手術、白内障手術、細胞を用いた再生医療など、より専門的・高度な診療行為が広告可能になりました。 - 寄生虫病の予防措置:
フィラリア症予防に加え、ノミやマダニなどの外部寄生虫、その他の内部寄生虫の予防措置も広告できるようになりました。 - マイクロチップの装着:
犬猫へのマイクロチップ装着義務化(努力義務含む)の流れを受け、マイクロチップ装着を行っている旨を広告できるようになりました。 - 愛玩動物看護師が勤務する診療施設であること:
国家資格を持つ愛玩動物看護師が在籍していることを広告できるようになりました。ただし、「愛玩動物看護師が採血を実施」のように、具体的な診療補助行為を広告することはできません。
これらの「技能・療法」に関する事項(専門性や経歴を除く、具体的な診療行為)を広告する際には、以下の4つの情報を必ず併記しなければなりません。
また、別途追加条件もあるので以下に記載します。
これらの併記情報は、飼い主が一目でわかるように表示する必要があり、QRコードなどに情報を格納して表示する方法は認められていません。
この必須条件の追加は、広告の自由度が増した一方で、広告作成のハードルを上げる側面もあります。特に、チラシやウェブ広告などで複数のサービスを告知する場合、それぞれにリスクや費用などを明記する必要があり、広告デザインや情報管理が複雑化します。
小規模な病院にとっては、この情報提供の負担が、特定の高度な治療法を広告する際の障壁となる可能性も考えられます。正確な情報(特に費用やリスク)を維持・管理するための院内プロセスも重要になります。
【比較表】特定の診療サービスに関する広告
サービスカテゴリ | 改正前(~2024年3月31日) | 改正後(2024年4月1日~) | 広告する場合の必須併記情報(改正後) |
高度な検査・治療 (例: MRI, 特定手術, 再生医療) | 原則広告不可 | 広告可能 | ①問い合わせ先 ②標準的な内容 ③主なリスク・副作用 ④費用 |
寄生虫予防 (例: ノミ・ダニ予防) | フィラリア予防のみ可 | 広告可能 | ①問い合わせ先 ②標準的な内容 ③主なリスク・副作用 ④費用 |
マイクロチップ装着 | 広告不可 | 広告可能 | ①~④に加え、動愛法に基づく登録必要性の説明 |
愛玩動物看護師の在籍 | 広告不可 | 広告可能(在籍の事実のみ) | (特定の診療補助行為は広告不可) |
基本的な予防・手術 (例: ワクチン, 避妊去勢) | 広告可能 (費用併記は不可) | 広告可能 | ①問い合わせ先 ②標準的な内容 ③主なリスク・副作用 ④費用 (狂犬病予防注射は追加条件あり) |
ウェブサイト・SNS等の取り扱い

まず、「広告」とは何かを理解することが重要です。ガイドラインでは、以下の3つの要件をすべて満たすものが広告と定義されています。
動物病院の公式ウェブサイト(ホームページ)は?
原則として「広告」には該当しないとされています。これは、URLを入力したり検索してたどり着くものであり、「認知性」の要件を満たさないためです。そのため、ウェブサイト上では、広告規制の対象となる「技能、療法、経歴」に関する情報(例:具体的な手術内容、料金、獣医師の詳細な経歴など)を掲載すること自体は、獣医療法の広告規制上は可能です。
しかし、注意が必要です。 リスティング広告(検索連動型広告)やバナー広告、チラシのQRコードなど、「広告」とみなされる媒体からウェブサイトへ誘導する場合、その誘導元の広告自体は規制の対象となります。つまり、広告に記載できる内容は制限されます。
また、今回の改正で、広告可能な事項が増えたことに伴い、ウェブサイトであっても、広告に準じた正確かつ適切な情報発信に努めることが求められています(努力義務)。特に、広告可能となった専門性や診療行為についてウェブサイトで詳しく説明する場合は、誤解を招かないよう、客観的で正確な情報を提供することが極めて重要です。
さらに、獣医療法の広告規制とは別に、景品表示法(景表法)や医薬品医療機器等法(薬機法)といった他の法律による規制は、ウェブサイトにも適用されます。例えば、「最高の治療」、「必ず治る」といった優良誤認や誇大表現、根拠のない比較優良表現、未承認医薬品の推奨などは、ウェブサイトであっても禁止されます。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に関して
Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどの不特定多数に情報が拡散する可能性のあるSNSでの情報発信は、「広告」とみなされる可能性が高いとされています。
したがって、SNSで病院の紹介や診療内容の発信を行う場合は、広告規制を遵守する必要があります。獣医師個人のアカウントであっても、内容によっては広告と判断される場合があるため注意が必要です。
このウェブサイトに関する扱いは、一見矛盾しているように感じるかもしれません。ウェブサイト自体は広告ではないが、そこへの誘導広告は規制され、さらにウェブサイトの内容も正確性が求められる、という状況です。これは、法律(獣医療法)の厳密な定義と、実社会での情報流通の実態(飼い主はウェブサイトを重要な情報源と見ている)との間のギャップを埋めようとする試みと解釈できます。
実務的な対応としては、ウェブサイトの内容も、広告と同様の注意を払い、常に正確で誤解のない情報を提供することが、飼い主からの信頼を得る上で不可欠と言えるでしょう。
引き続き注意が必要!広告で禁止・制限される表現

今回の改正で広告可能な範囲は広がりましたが、依然として禁止・制限されている表現があります。これらを誤って使用すると、罰則の対象となる可能性があるため、改めて確認しておきましょう。
虚偽・誇大広告
事実と異なる情報や、実際よりも著しく優良であるかのように見せかける表現は禁止です。
例えば、「絶対に治る」、「100%成功」、「副作用なし」、「どんな病気も対応可能」、「最高のケア」、「効果抜群」など。治療効果には個体差があるため、過度な期待を抱かせる表現は認められません。
施設の状況なども、客観的事実に基づかない表現は誇大広告にあたる可能性があります(例:開設から10年経っているのに「最新の施設」と表記する)。
比較優良広告
他の動物病院と比較して、自院が優れていると示す表現は禁止です。
例えば、「地域で一番〇〇手術が上手い」「他のどの病院よりも安全」、「〇〇地域No.1」など。
費用の強調・割引広告
費用に関する広告は、低価格競争による獣医療の質の低下を招く恐れがあるため、原則として認められていません。
例えば、「期間限定〇〇%オフ」「今なら初診無料」「キャンペーン価格」「業界最安値」など。
ただし、先述の通り特定の診療行為を広告する際に、必須情報の一部として費用を併記することは可能になりました。これはあくまで情報提供の一環であり、費用を不当に強調することはできません。
未承認医薬品・医療機器、再生医療等製品に関する広告
医薬品医療機器等法(薬機法)により、承認・認証を受けていない医薬品や医療機器、再生医療等製品の名称、製造方法、効能効果、性能に関する広告は禁止されています。
例えば、:「〇〇(未承認薬)で癌が治る」「当院独自の〇〇療法(未承認)」などです。
飼い主等の体験談
個人の主観に基づく体験談は、客観的な裏付けが難しく、飼い主を誤認させる可能性があるため、広告に使用することはできません。ウェブサイトなど広告に該当しない媒体であっても、誤解を招くような体験談の掲載は避けるべきでしょう。
その他
公序良俗に反する内容、品位を損なう内容、診療の内容や効果について誤認させるおそれのある術前術後の写真、医療内容と直接関係ない事項(例:「〇〇をすれば△△をプレゼント」)による誘は禁止されています。
これらの禁止事項は、広告媒体の種類(チラシ、ウェブ広告、SNSなど)に関わらず適用されます。
広告規制遵守の重要性とリスク

新しいガイドラインを遵守することは、単に法律を守るというだけでなく、動物病院の経営にとって非常に重要です。
遵守するメリット
法的リスクの回避
ガイドライン違反は、獣医療法に基づく罰則(50万円以下の罰金)や、行政処分(業務停止、悪質な場合は獣医師免許の取消し)の対象となる可能性があります。コンプライアンスを徹底することで、これらのリスクを回避できます。
飼い主からの信頼獲得
正確で誠実な情報提供は、飼い主の安心感と信頼につながります。特に、治療のリスクや費用といった情報も隠さずに開示する姿勢は、長期的な信頼関係の構築に不可欠です。
健全な業界の状態維持
誇大広告や不当な価格競争を避け、質の高い獣医療を提供することに集中できる環境を維持することにも繋がります。
違反した場合のデメリット
罰則・行政処分
上記の通り、罰金や業務停止、免許取消しといった直接的なペナルティを受ける可能性があります。都道府県によっては、違反広告者の氏名等を公表する措置が取られる場合もあります。
信用の失墜
不適切な広告が発覚した場合、飼い主からの信頼は大きく損なわれます。一度失った信頼を回復するのは容易ではありません。インターネットやSNSを通じて情報は瞬時に拡散するため、レピュテーションリスクは非常に高いと言えます。
従業員のモチベーション低下
法令遵守意識の低い職場環境は、そこで働く獣医師や愛玩動物看護師、スタッフの士気にも影響を与える可能性があります。
今回の改正は緩和が中心とはいえ、新たに広告可能となった事項には詳細な条件が付されており、意図せず違反してしまう可能性もゼロではありません。
特にウェブサイトの扱いなど、解釈が難しい部分もあります。「知らなかった」では済まされないため、ガイドラインの内容を正しく理解し、院内で情報共有を徹底することが重要です。
新ガイドライン下で効果的なマーケティング戦略

広告規制は遵守すべきルールですが、それはマーケティング活動を制限するだけの壁ではありません。むしろ、ルールの中で工夫を凝らし、自院の強みを効果的に伝えるチャンスと捉えることができます。
戦略のポイント①:「専門性」の伝え方を工夫する
農林水産大臣指定の認定資格を持つ獣医師がいる場合、その専門性を積極的にアピールしましょう。これは、特定の疾患や分野で悩む飼い主にとって、病院選びの重要な判断材料となります。
指定認定がない場合でも、ウェブサイト(広告ではない媒体)などを活用し、獣医師が注力している分野、得意とする手技、学会発表や研修参加などの継続的な学びについて、客観的な事実に基づいて情報発信することは可能です。ただし、広告とみなされる表現にならないよう注意が必要です。
「〇〇科」といった診療科名を適切に標榜することも、専門性を示す一つの方法です。
戦略のポイント②:「診療内容」の透明性を高める
今回、多くの診療行為が広告可能になりましたが、リスクや費用の併記が必須となりました。これを負担と捉えるのではなく、透明性の高い情報提供として前向きに活用しましょう。
ウェブサイトでは、広告規制の範囲を超えて、さらに詳しい治療内容、期待される効果、具体的な費用、考えられる代替治療などを丁寧に説明することで、飼い主の不安を取り除き、インフォームド・コンセントの質を高めることができます。
手術や処置のイラスト・写真を使用する場合は、飼い主が不快に感じないよう配慮が必要です。
戦略のポイント③:情報提供を通じて信頼を構築する
広告だけでなく、ウェブサイトのコラム、院内報、メールマガジン、SNS(広告にならない範囲での情報発信)などを通じて、飼い主にとって有益な情報(病気の予防、日常ケア、しつけなど)を継続的に発信しましょう。
これは直接的な集客広告ではありませんが、動物病院の知識レベルや動物への愛情を示すことになり、結果的に飼い主との信頼関係を深め、選ばれる理由となります。
戦略のポイント④:地域貢献や病院の理念を伝える
広告規制の対象とならない、病院の理念、スタッフ紹介、地域での活動(学校での講演、保護活動への協力など)、院内の雰囲気などを伝えることも有効です。
これらは、病院の「人となり」や「姿勢」を伝え、飼い主が共感や親近感を覚えるきっかけになります。
戦略のポイント⑤:ウェブサイトと広告媒体の連携
リスティング広告やチラシなどの「広告」では、規制の範囲内で興味を引きつけ、詳細情報はウェブサイトへ誘導するという流れが基本になります。
広告媒体では伝えきれない詳細情報(治療内容、費用、リスク、獣医師の詳しい経歴など)をウェブサイトでしっかり補完することが重要です。
重要なのは、広告規制を単なる「制限」と捉えるのではなく、「飼い主との適切なコミュニケーションのためのルール」と理解することです。ルールの範囲内で、自院ならではの価値を、誠実に、分かりやすく伝えていくことが、これからの動物病院マーケティングの鍵となります。
専門家への相談という選択肢:不安を解消し、最適な戦略を見つけるために
ここまで、2024年4月に施行された獣医療広告ガイドラインの改正点とその対応について解説してきました。
広告可能範囲が広がった一方で、遵守すべきルールも複雑化しており、自院だけで完全に対応するには不安が残る、あるいは時間的な余裕がない、と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
動物病院のマーケティング課題
- 自院のウェブサイトやチラシが、新しいガイドラインに適合しているか自信がない…
- 広告できるようになった専門性や診療内容を、どう表現すれば効果的かつ安全なのか分からない…
- 必須とされるリスクや費用の記載方法が具体的に知りたい…
- 規制を守りつつ、もっと効果的に集患に繋げたいが、何から手をつければ良いか…
このようなお悩みや課題を抱えていらっしゃる場合、獣医療広告にも知見のある専門家(マーケティングコンサルタント)に相談することも有効な選択肢の一つです。
専門家に相談するメリット
- 最新のガイドラインの内容と、その背景にある法的な意図を正確に理解しています。
- 個々の動物病院の状況(地域性、診療内容、ターゲット層など)に合わせて、最適な広告・マーケティング戦略を立案できます。
- ウェブサイト、SNS、チラシなど、各媒体の特性を踏まえた上で、ガイドラインに準拠し、かつ効果的な表現方法を具体的にアドバイスできます。
- 広告表現だけでなく、飼い主との信頼関係構築や、病院のブランディングといった、より広い視点からのサポートを提供できます。
今回の法改正への対応は、すべての動物病院にとって避けて通れない課題です。罰則規定も存在するため、「知らなかった」では済まされません。特に、ウェブサイトの扱いについては、多くの病院がまだ十分に対応できていない現状があるとも指摘されています。
広告規制への対応は、単なるリスク管理に留まらず、自院の価値を正しく伝え、飼い主からの信頼を得て、持続的な成長を実現するための重要なステップです。もし、少しでも不安や疑問があれば、抱え込まずに専門家にご相談いただくことで、より確実で効果的な対応が可能になります。
貴院の状況に合わせた具体的なアドバイスや、マーケティング戦略の立案サポートにご興味がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。